マンションやアパートなどの集合住宅、賃貸物件でも、新電力会社への切り替え(スイッチング)や新規契約(再点)は可能なのでしょうか?
少しでも安い料金の電力会社を選ぶことで、光熱費を節約することができれば、新生活がより充実したものになるでしょう。
目次
賃貸マンション・賃貸アパートなど
賃貸のマンションやアパート、戸建てなどでは、各戸が個別に電力会社と契約する物件であれば、入居者が自由に電力会社を選んで切り替えることができます。ほとんどの賃貸物件がこの形態に該当します。
また、入居者が電力会社を切り替えることで電力メーターがスマートメーターに取り換えられても、建物までの送電線などの設備はそのままですので、管理会社やオーナーへの報告や許可申請などは不要です。
なお、管理費や賃料に電気料金が含まれているような一部の物件では、物件のオーナーが電気料金を負担しているため、入居者が自由に電力会社を切り替えることはできません。
また、オーナーや管理会社が一括受電しているような物件(電気代の支払先が管理会社やオーナーの場合)も、入居者が自由に電力会社を切り替えることはできません。
退去時の原状回復は必要?
賃貸物件で内装を破損したり造作変更した場合は、退去時に原状回復(入居時の状態に戻すための費用を負担)する必要があります。
それでは、電力メーターがスマートメーターに交換されたあと、その賃貸物件を退去することになった場合は、原状回復(現状復帰)のためにもとの電力メーターに戻す必要はあるのでしょうか?
これについては、結論から言うと「必要無い」ということになります。
そもそも電力メーターは送電事業者(東京電力パワーグリッドなど)が設置しているものであり、賃貸物件のオーナーのものではないため、原状回復の対象ではないのです。なので、スマートメーターに交換されたあとに退居する場合でも、もとの電力メーターにまた交換する必要は全くありません。
なので、賃貸物件であっても何ら心配なく、自由に電力会社を選べます。
分譲マンションなど
各戸が個別に電力会社と契約する物件であれば、自由に電力会社を選んで切り替えることができます。電力会社を変更しても、共用部の設備で工事が入ることもありませんので、管理組合や管理会社などへの報告も不要です。
なお、マンション全体で電力一括購入サービス(高圧一括受電)などを導入している場合は、個別に新電力に切り替えるということはできません。
引っ越しで新規に新電力と契約(再点)
賃貸物件や分譲マンション、新築物件などへの引っ越しにより、新規で新電力会社と契約することも可能です(「再点」とも言います)。
賃貸物件や新築物件などに新たに入居する場合には、不動産会社などからは電気の契約先として東京電力エナジーパートナーや関西電力などの地域電力会社を案内されることがありますが、2016年4月以降は新電力会社を自由に選んで新規に申し込むこともできます。
新規で申し込む場合は、電気を利用する場所の住所や建物名などがわかれば、供給地点特定番号が不明でも申し込むことができます。
なお、一部の新電力では、地域電力会社と契約中の方からの切り替え(スイッチング)のみ受け付けとなっているため、引っ越し先で新規に申し込むことができない場合もあります。
管理会社が電力会社を指定してくる?
気を付けたい点として、賃貸マンションやアパートなどでは、管理会社やオーナーから特定の電力会社への変更を求められるというケースもあるそうです。このようなケースでは、あくまで「任意での協力のお願い」という形で案内されているものとはいえ、「電力会社を変更しないといけない」と思ってしまうこともあるかもしれません。
しかし、電力自由化後にどの電力会社と契約するかは入居者が自由に決めることができます。これまで通り地域電力会社との契約を継続しても問題ありませんし、自分で選んだ新電力会社などに切り替えを申し込むことも自由です。電力会社の切り替えにあたっては、その契約条件などを十分に確認して検討するようにしましょう。